Dear Old Stockholm
リクエストを頂いたので譜面を作ってみました(; ・`д・´)
ミディアムテンポのスイングでところどころにキメや仕掛けのある渋いナンバーです。
セッションで頻繁に見かける程ではありませんが超有名どころのひとつで是非覚えておきたいですね(; ・`д・´)

その他のジャズスタンダード曲はこちらにまとめてあります。

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Dear Old Stockholm

原曲はスウェーデンの民謡で、Ack Varmeland Du Skona(アック ヴァルメランド デゥ シェーナ)(麗しのワームランド)という訳を一般的にはされています。
19世紀の歴史家アンデルス・フリクセルが採譜したと言われ、1846年F.A.ダールグレンの劇『ヴェルムランドの人たち』に用いられています。
それから約100年後にサックス奏者のスタン・ゲッツがスウェーデンに演奏旅行に行った時にこの曲と出会い、ジャズ風にアレンジして演奏したのが始まりみたいですね。
しかしストックホルムは同じスウェーデンですが全く離れた場所なのでどうしてこういうタイトルにしたのか謎ですね(; ・`д・´)
ちなみに小学校の音楽の教科書にも出てきたチェコの作曲家、スメタナがスウェーデンを訪れた時にこのメロディーに触れ、モルダウの一節にも使われています。

で、有名なテイク、動画はいくらでもあって特に代表的なのがマイルス・デイヴィスとかバド・パウエルだったりするのですが、まぁせっかくベーシスト向けの内容という事でポール・チェンバースからのこれを抜粋しておきます。
イントロやらブリッジ部分やらはまぁ色々パターンがありまして、普通にルートと5度をリズムに合わせて弾く程度でもいいのですが、このバージョンで弾くと「お?」と関心される事もあるので覚えておいて損はないフレーズです(; ・`д・´)

譜例

Dear_Old_Stockholm-1

Dear_Old_Stockholm-2

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Dear_Old_Stockholm

という感じでサラッと1コーラス作ってみましたが、しかし長いですね(; ・`д・´)
いわゆるジャズスタンダードの曲って32小節で1コーラスである事が多いのですが、Aの最後は毎回vampを挟んだり、サビに当たるBの部分が短かったり、Cというか終盤がルートでのペダルというかキメっぽくなっていたりという感じで構成を覚えるのが少し大変だったりします。
その分?コード進行は割とシンプルで覚えやすいですが逆に単純すぎて慣れるまではやっぱり大変かも知れませんww
ちなみにラスト2小節は何も書きませんでしたが、テーマやソロの交代でブレイクを入れることは多いのですがこの曲は次のコーラスも引き続き同じ人がソロを取る場合でもブレイクしてソリストをピックアップするのが一般的かなーという感じです。

一応構成はAABCで43小節でワンコーラスとなります。

解説

今回も比較的シンプルなウォーキングライン、というかキーがDmで大半がそのツーファイブの進行がメインで割と細かめに進行していますので音と音の繋がりを考えるとアクロバティックな事はしにくいというか、やりすぎるとダサくなってしまう絶妙な感じなのですよね(; ・`д・´)

Dear Old Stockholmイントロ

まぁでも解説の項目ということで要所要所のあれこれを書いていきます。(語彙力)まずはイントロ。
上の動画がまさにこれですが、この時代のあらゆるレコードで音を聞く事が出来る巨匠ポール・チェンバース様のBass On Topからのテイクです。
普通にルートと5度で黒本の譜割りに合わせて弾くだけでも十分なのですが、セッションでこういうのを弾くと一緒に弾いている人達がこちらを見てニヤリとしてくれる率が割と高いです。
結構そういうのをキッカケに後で話しかけて貰えたり輪に入れるようになっていったりというのもありますので、色んなパートで弾ける小ネタを仕入れておくっていうのは結構大事だったりします(; ・`д・´)

Dear Old Stockholm

そしてA’の部分。
Aはほぼコードトーンで低い音域でのんびり停滞している感じでしたが、こちらは広めの音域で。
上がる時は一気に駆け上がっていってそしてまた停滞。
普通の進行ならもう少し高い音域でゆっくりしたいのですが、また4小節のバンプを挟むので開放弦を有効に使いつつ低いところにサッと戻っています。

スクリーンショット 2019-03-28 21.55.17

Bのサビに当たる部分。
ここも4小節しかないのでパッと変わってサッと戻る感じです。
ちなみにここはDmではなく平行調Fのキーに一時的に変わっています。

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そしてある意味一番難しいのがココ!(笑)
ペダル的な感じで6小節半、そしてA7(-9)→Dmと締めの進行に至る訳ですが、中途半端な長さなので4小節や8小節の感覚で慣れていると間違えそうになります。
かと言って別に変な事をしている訳でもありませんのでここはとにかくやり込んで覚えてしまいましょう。

Dear Old Stockholmが聴けるオススメのアルバム

Paul Chambers Quartet/BASS ON TOP

冒頭で紹介していますがまずはやはりこれでしょう。
ベーシストのリーダーアルバムなので当然ベースが全編に渡って思い切りフィーチャーされていますので、ベースでのテーマやソロの取り方など、勉強になるところも多いです。

Miles Davis/Round About Midnight

これも有名なテイクですね。マイルスが1957年に発表したRound About Midnightからの1曲です。
ちなみにここでもベースはポール・チェンバースww
メンバーや立場の違いでプレイにどういった違いが出るのか?というのを比べてみるのも一興かと思います。

Stan Getz /DEAR OLD STOCKHOLM

そしてスタン・ゲッツのバージョンがこれです。
今スタンダードとして演奏されているものはここから更にジャズ風にアレンジされていますが、こう聴き比べるとどんどん変わっていってるなぁという感じですね。
しかし何故タイトルにストックホルムが入ったのか。。(; ・`д・´)