anita
マイナー調のスイングの中ではセッションで最も多く演奏される曲の候補と言えそうなスタンダードナンバーのBeautiful Love。
ツーファイブやよくある進行が多く登場して練習にもなり、他の曲にも応用がきく部分が多いので是非マスターしておきたい一曲ですねヽ(´ー`)ノ

その他のジャズスタンダード曲はこちらにまとめてあります。

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Beautiful Love

ウェイン・キング楽団の曲として1931年に書かれたもので、作曲者はVictor Young、Wayne King、Egbert Van Alstyneの3人がクレジットに挙がっていますが、実質はヴィクター・ヤングの作曲みたいなもので、黒本も確かヴィクター・ヤングの名前のみだったと思います。
元々は3拍子のワルツらしいのですが、現在というかジャズスタンダードとしては4分の4拍子のスイングで演奏されることがほとんどです。

ジャズスタンダードのオススメで頻繁に紹介しているビル・エヴァンスですが、Beautiful Loveも素晴らしい演奏ですね。
心地よいテンポでのスイング、メロディも分かりやすく、エンディングもこのパターンが一般的なので、まず曲を覚えたいという人はこれは聞くべきテイクのひとつです( ゚д゚)ハッ!

譜例

Beautiful_Love1-1

Beautiful_Love1-2

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Beautiful_Love

という感じでザザッと1コーラス書いてみました。
よくあるジャズスタンダードと同じく32小節ワンコーラスで、特に変な部分もないシンプルなABACの構成となっています。
キーは♭がひとつなのでメジャーならF、マイナーならDmなりますが、全体的にDmの気配が強くコーラスの最後もDmで締めていますのでこの曲のキーはDmとなります。

ちなみに冒頭から登場するøですが、これはハーフディミニッシュという意味でEø7だとEm7(-5)と同義になります。
両方とも一般的に使われるもので、慣れればパッと見た瞬間反応出来るようになると思います( ´_ゝ`)

解説

今回もベースラインは比較的シンプルに、堅実でベースっぽいラインをイメージして作っています。
相変わらず横文字多めの解説で多少理論的っぽくなってしまっていますので分からない部分は今はとりあえずスルーで何となく雰囲気で読む程度で十分だと思います。

beautiful_love1-4

1〜4小節目は特に静かな立ち上がりでほとんどがコードトーンかせいぜいスケールの2度の音、4小節目の4拍目で次のGm7に向かう経過音があるくらいですね。
ここは2小節続けてコードがDmとなっていますが5小節目のGm7に解決するドミナントコードのD7を挟む場合もありますので、このベースラインもそういう解釈で捉えることも出来ます。

beautiful_love5-8

で、5〜8小節目にいくわけですが、コード進行がGm7-C7-F△7とここは一時的に平行調のFメジャーのキーになっていますね。
平行調というのは上にも書きましたが♭が1つ付くキーでメジャーならF、マイナーならDmとなるのですが、Dmのキーから一時的にFになっているという事です。
8小節目は9小節目のDmのコードに向かうマイナーのツーファイブなのでここからはまたDmのキーに戻っています。

beautiful_love17-20

beautiful_love21-24

17小節目が折り返し地点ですが、ここから24小節目まではハイポジションまでぐわーんと駆け上がっていきます。
その駆け上がる途中のDmでしばらく9、10フレットを行き来していますが、ここはDm、Dmと1小節ずつではなく、2小節でひと塊という解釈でルートに戻らず短3度、2度、短3度、経過音(もしくはD7という解釈)で最後の音以外はスケールの音で弾いています。
2小節でひと塊と言っても2小節目の頭でコードトーンと関係無い音だと外れて聞こえてしまうので頭はコード構成音のどれかを弾くようにしましょう。

21小節目からはウッドベースだと親指を使ったポジションになります。
このフレーズだと12フレットを親指、14フレットを人差し指、15フレットを中指、17フレットを薬指で押さえるので多分一般的というか楽なポジショニングになります。

あまりエレキ的ではありませんが、これも慣れると意外とカンタンで大きな動きで見栄えも良いのでエレベの人も是非こういう運指にもチャレンジしてみてください( ゚д゚)ハッ!

beautiful_love29-32

そして29〜32小節目、このラスト4小節がコードに一番動きがあって盛り上がるところですね。
ここは結構定番のパターンというかコード進行なので是非覚えておきましょう。
理論的な説明もここが一番専門用語連発で意味不明になると思いますが、B7はB♭7に対するセカンダリードミナントというコードを裏コードにしたもの、そのB♭7もA7へのセカンダリードミナントを裏コードにしたものという解釈が出来て、A7はDmのドミナントという事でトニックに落ち着いて終わりという感じで、用語が分かればなるほどとなりますがベースはシンプルにルートを2拍ずつ弾くだけで何も問題ないのでぶっちゃけ全然気にしなくていいです(´つヮ⊂)ウオォォwwww

ちなみにエンディングはこの29〜30小節目を3回繰り返してDmで終わるのが一般的なのでそこだけ覚えておいてくださいヽ(´ー`)ノ

Beautiful Loveが聴けるオススメのアルバム

Bill Evans/Explorations

最近改めて良さが分かってきたという個人的なひいきを抜きにしてもBeautiful Loveを紹介するならまずはBill Evansでしょう(´つヮ⊂)ウオォォwwww
ベースはスコット・ラファロで、この曲以外でも聞いておくべき要素がたっぷり詰まったオススメの一枚です( ゚д゚)ハッ!

Michel Petrucciani/Power of Three

フランス最高のジャズ・ピアニストと称されるミシェル・ペトルチアーニとジョー・パスによるデュオ演奏という事でベースレスですが、ベースのいない編成だとどうなるのか?という視点で聞いても面白いテイクです。

Anita O’Day/This Is Anita

Beautiful Loveの歌モノと言えばコレ、というアニタ・オデイのバージョンです。
これも原曲のメロディがとても分かりやすく歌われているので、曲を覚える意味でも是非聞いておきたいテイクですねヽ(´ー`)ノ