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クロマチックの音階を随所に盛り込んであるベースラインやメロディラインを紹介しまーす!というコーナーです。
機械的な運指トレーニングだけでなく上手く使えばカッコよく生きたフレーズとなるので是非参考にしてみてください(`・ω・´)ゞ

クロマチックスケールとは

スケールという名前が付いていますが、言ってしまえばフレットを押さえて出せる音が全部クロマチックスケールとなります。
1オクターブの中にある12音を全て鳴らせばいいだけですね。

一般的には運指練習の目的で使う事が多いですが、スケールやコードの構成音の合間を縫うように入れていけば必然的にアウト感が得られます。
適当に弾くと外れているだけにしか聞こえませんのでスケールを繋ぐ経過音として上手く入れてあげましょう。

どちらかと言えばベースソロ向けな内容ですが【クロマチックスケール】実用的な使い方(基礎編)にて基本的なアプローチの方法を書きましたのでコチラも参考にしてみてください。

今回はさらに実践編という感じで実際に使われている曲をピックアップして紹介していきます(`・ω・´)ゞ

Come On, Come Over(タブ譜)

BPM=110

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フレットレス・ベースの名手で革新的なテクニックをもってエレクトリックベースをアンサンブルでの花形楽器にまで昇華させたと評されることの多いジャコ・パストリアス大師匠の曲の冒頭部分をチョイスしてみました。
ジャコのデビューアルバムである「ジャコ・パストリアスの肖像」の2曲目ですね。

このアルバムならドナ・リーだろうという声が聞こえてくる気がしますが、今回は手頃に弾けてカッコいいフレーズのCome On, Come Overにしました。
ちなみにこの次の展開のサビ的な部分もいい感じにクロマチックが絡んでいてとてもカッコいいですのでまた何かの機会に紹介できればと思います( ゚д゚)ハッ!

解説

冒頭2小節のイントロ部分は32分音符なんてものが登場しますが、BPM=110ということは言い換えるとBPM=220の16分音符という事になりますね。
確かに速いのは速いですがやってみると意外に出来ないテンポではありませんし、ここはハンマリングとプリングを連続させるだけでいいのでどのくらいの速さか指が覚えたら後は早いでしょう。
コツを言うととりあえず最初は4拍目の頭に3フレットに戻っているというイメージで、テンポを落としてゆっくりやってみてください。
ちなみにここのコードはGm7なので、この32分音符の4フレットだけが一瞬クロマチックでアウトして後はコードの構成音で演奏されていますね。

本題は3小節目以降のリピートマークでくくられている部分です。
ここはコードはCm7で2小節で1つのフレーズとなっています。正確にはその前の小節の4拍目からですが。
※小節の頭からではなくその前の小節の途中からフレーズが始まる事をアウフタクト(弱起・じゃっき)といいます。

まずはフュージョンやファンクでは常套的に使われる短7度からのアプローチ。上の譜例だと2弦8フレットの音ですね。
そのままルートというパターンもよく使われますが、間に長7度を挟んでルートに向かうというパターンもかなり多いです。

次のアウフタクトは短3度からのアプローチです。譜例だと4弦11フレットの音ですね。
短3度、4度と進んで3弦9フレット、F#の音を挟んで5度に行き、次の小節の頭でルートを弾いています。

そして再び弱起で1つ目のフレーズに戻り…というパターンを繰り返しています。
割とシンプル&基本的なパターンのひとつと言えますのでここは何度も繰り返してリズムやメロディの感覚をしっかりと体に染み込ませてあげましょう。
メトロノームで裏拍を鳴らしながら弾けばノリを掴む練習にもなりますね。

Lullaby of Birdland(タブ譜)

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お次はジャズ・スタンダードからメロディラインを取り上げてみます。
女性ジャズヴォーカルの御三家と言われるサラ・ヴォーンやエラ・フィッツジェラルドが歌っているものが特に有名ですね。
最近だとJUJUさんなんかも歌ったりしていますね。

インストで演奏する機会もたまにあり、たまたまウッドベースでこの曲のテーマを練習していたらサビ部分のメロディが簡単&効果的だと思って抜粋してみました( ゚д゚)ハッ!

解説

原曲は8分音符でイーブンに弾くのではなく8分と3連符の間くらいの微妙なハネ方で演奏します。
大きく分けると5〜8フレットのフレーズと3〜6フレットのフレーズという感じで2つに分ける事が出来ます。

音数は少ないのでコードも確認しながらまず5〜8フレットのフレーズからひとつひとつ見ていきましょう。

5フレットはCm7(-5)のルート、6フレットは♭2度でスケール内の音、7フレットは次の音に繋ぐためのアプローチノート。要するにクロマチックスケールでここまでが1〜2拍目。

8フレットはCm7(-5)だと短3度ですが、コードはF7(-9)に切り替わっていますのでこちらの短7度という解釈でいいかと思います。
そして5フレットは完全5度の音でコード内の音、再び8フレットに戻ってから6フレットですが、これはF7(-9)の6度というよりは次のB♭m7の短3度をアウフタクトで攻めているという解釈でいいかと思います。

そして2小節目の2弦8フレットがB♭m7のルートでここに向かって解決というひとつのフレーズになりましたね。

次は3〜4小節目を見てみましょう。

3フレットはB♭m7のルート、4フレットはさっきの流れだと♭2度でスケール内の音となりますが、今回はこれがスケールからアウトしたクロマチックスケールの音になります。
そして5フレットが普通の2度でこれがスケールの音となります。

6フレットはE♭7の7度の音、3フレットは完全5度の音、再び6フレットに戻ってから7フレットはアウフタクトでA♭△7の長3度、コードトーンに解決という流れですね〜。

同じ4フレット間のクロマチックでアウトしている音が違う理由ですが、途中までのメロディは同じでも実はこの2パターンのコード進行は全く別物となります。

このコード進行についての解説まで詳しく始めてしまうと大変な長さになってしまうのでまた別の機会を設けて書きたいなーと思っているのですが、簡単に答えだけを書いておくと

Cm7(-5)→F7(-9)→B♭m7の流れはマイナーのドミナント・モーション
B♭m7→E♭7→A♭△7の流れはメジャーのドミナント・モーション

と、今は言葉だけ何となく覚えておいてください( ゚д゚)ハッ!
どちらも3つ目のコードに解決するためのコード進行でかなりの頻度で登場します。

もしベースソロを弾くことになった場合、どんなキーでもこの進行ならフレットをずらしてこのニュアンスで弾けばなかなか渋いメロディを聞かせる事が出来るかと思います( ;∀;)


という感じでベーシスト向けのこの手のチョイスにしてはなかなかマニアックなところを突いた2曲となりましたが、実践レベルでクロマチックを使っていく中でかなり入りやすいかなぁと思います。

世の中にはまだまだ美味しいフレーズ、ベースラインが沢山ありますので、個人的にも色々研究しつつ面白いものがあったらバンバンまとめていきたいと思います(`・ω・´)ゞ