ジャズのスタンダード曲の中でも枯葉などと並ぶ超定番曲で初心者の方でもとっつきやすい進行になっています。
ジャズ以外の場でも流れる事も多くメロディに馴染みがあるからか覚えやすくセッションに行く前に知っておきたい曲のひとつですヽ(´エ`)ノ
その他のジャズスタンダード曲はこちらにまとめてあります。
目次
Fly Me To The Moon
1954年にバート・ハワードという作曲家が作った曲で、ジャズとしてはフランク・シナトラがカバーした事により爆発的にヒット、その後インストナンバーとしても数々の名演があって現在では超定番のジャズスタンダードとしてセッションで頻繁に演奏されるようになりました。
基本的にはこんな感じで4ビートのスイングが多いですが、ボサノバのリズムにアレンジする事もあったり元々の原曲の名残で3拍子でやる事も稀にあります。
インストの場合は大体キーCでコードが分かりやすいですし、進行もシンプルで4ビートのベースラインの練習にもソロの練習にもなるオススメ曲のひとつですね。
ジャズセッションに行けばほぼ9割の確率でやりますし、やりたいと言えば大抵の人は乗ってきてくれるので是非ここで流れや雰囲気を覚えてしまいましょう(´つヮ⊂)ウオォォwwww
譜例
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Fly_Me_To_The_Moon2
という感じでいつも通り1コーラス分書いてみました。
ここ最近はmusescoreというソフトで譜面を作っているのですが、慣れたらこのくらいの譜面は一瞬で作れますのでかなり重宝しています。
この使いやすさ、この機能性で無料というので驚きですがmusescoreの紹介や使い方なんかも詳しく書いてみたいですねw
今回も4ビートでの譜面で極力奇抜な事はせずにシンプルで堅実なラインにしました。
ベースは4ビート中は変に小難しい事をするよりも確実でビート感のあるプレイをする方が好まれますので、セッションでリアルタイムでベースラインを組み立てていく時も頭の片隅に入れておきましょう。
ちなみにキーは頭がAm7で、ソロを回す間は最後の小節でBm7(-5)/E7とAm7に向かうコード進行をしていますのでAmと思われる事もたまにありますが、本来はCで締めていますのでこの曲のキーはCとなります。
ソロなどでコーラスを回す場合はスムーズな流れにする為に変えている、と解釈しておいてください。
譜面は出来れば1ページに収めたい主義でしたがやっぱり4小節ごとにした方が見やすいですね(´つヮ⊂)ウオォォwwww
解説
今回も真面目にリハーサルマークを書いてますw
32小節ワンコーラスという割とお決まりのパターンで、進行はABACなので16小節ずつの前半後半みたいな考えでもいいですね。
解説は相変わらずそこそこ役立つ事は書いているつもりですがたまにマニアックな事なんかも書いたりしてちんぷんかんぷんになる可能性もありますので、よほど興味ある人以外はサラッと流し読みで大丈夫です(´つヮ⊂)ウオォォwwww
序盤からコードトーンと経過音をメインのベースラインにしていて、この5〜8小節目もフレーズ自体はそこまで難しい事はしていませんが理論的な説明を少々。
7小節目はコードがE7で1音目はルート、2音目はその半音上、3音目は短3度の音ですが4音目は長3度で次の小節に向かって半音ずつどんどん上がっていく経過音なので間違った音ではありません。
ですが2音目は経過音な訳でもなくコードにそういう指定がある訳でもなく、キーCなら本来Em7なのでそのスケールの音としては間違ってないけどここではE7だし…と少しコードの事が分かってきた人だと一瞬考え込んでしまう謎の音ですよね。
ですが、ここのコードは正確にはE7(-9)で黒本以外の譜面だとそう指定されているものもちょくちょくあります。
じゃあそう書いててくれよ!と私が読者でも思ってしまいそうですが、ここでようやく赤丸の登場です。
ジャズスタンダードの記事の時にたまにツーファイブとかドミナントモーションという言葉を使っていますが、この赤丸の進行もまさにそれです。
Bm7(-5)〜E7〜Am7なので正確にはツーファイブワンですね。
ツーファイブワンというのは要するに2度→5度→1度という進行でまぁ言葉の通りなのですが、1度の部分がAm7なのでこれはマイナーのツーファイブワンとなります。
メジャーだとⅡm7-Ⅴ7-Ⅰmaj7だったのがマイナーだとどのキーでもⅡm7(♭5)-Ⅴ7(♭9)-Ⅰm7というワンセットで数学の式と同じレベルで形で覚えてしまいましょう。
ちなみにキーCの中でCのキーとAmのキーは平行調の関係であると、言葉だけ何となく覚えておくといいです( ´_ゝ`)
緑の丸はA7というCのキーには無いコードなのですが、ここは一時的に転調していて次の小節のDm7に向かってⅤ7-Ⅰm7の形を作っています。
なのでA7のコードに切り替わっているはずの3拍目で1弦5フレットの音を使うのは間違いでは?と思われるかも知れませんが、バラードくらいゆっくりのテンポでない限りは音がぶつかった思う前に次の6フレットの音(A7の長3度)を弾いていてそのまま半音ずつの流れでDm7に進行しますので全く問題ないというかよく使われるパターンです。
一応気を付ける場合でも、Am7→A7と1小節内での進行ならわざわざルートに戻らず、6フレットを2回弾いたり6フレット→9フレットと長3度と5度にしたり、9フレットから半音ずつ下がっていくパターンなんかもいいですね。
基本的には何の変哲もないコード進行ですが、後のポイントといえばこの部分ですね。
26小節目がD#dimというコードになっていますが、ここはこれまでの流れでいけばG7が入る進行なのですが今はⅡm7-Ⅱ#dim-Ⅲm7という感じで半音ずつルートが上がっていく進行が一般的になっています。
このD#dimはパッシングディミニッシュといってルートを半音ずつ上げたり下げていきたい時に挟むコードで上がる時と下がる時でちょっと役割や意味が変わってきますので、とりあえずこれも何となく言葉だけ覚えていればいいと思います( ´_ゝ`)
ちなみにここは一緒にやる人によってはG7に進行する場合もありますので、セッションに余裕が出てきた人は1コーラス目は伴奏の人をよく見てどう進行するかアイコンタクトで確認する意識を持てると一歩先のセッションプレイヤーになれたと言えますねヽ(´エ`)ノ
Fly Me To The Moonが聴けるオススメのアルバム
Frank Sinatra/Fly Me to the Moon
この曲が知れ渡りジャズスタンダードとなったきっかけとなる録音のひとつですね。
シナトラの渋い声は魅力的で他にも聴き応えのあるスタンダードナンバーばかりなのでジャズの入門としても是非聞いて見て欲しいですヽ(´エ`)ノ
Ray Brown Trio/Some of My Best Friends Are Guitarists
巨匠ベーシスト、レイ・ブラウンのトリオです。
聴き応えのある強烈なベースラインやテーマが分かりやすく覚えやすいのもオススメなポイントですね。